兄貴、何であいつ納得したの、馬鹿だね、馬鹿。 大きな声を出すな。 お客様、お戻りになって下さい。 二荷入りの勘定が合わないんで…。(と、泣く) あなたたちがいる内は、合うんです、担いて行くうなじのあたりを見ると、あやしくなる。 貞吉、ソロバンを。 3円入れて、一荷入りを下に取った3円入れるんだろ。 (止まる)ここに、何かがある。 6円です、勘定が合う。 私、一人でやってみます、3円入れて…。 後ろの方、こいつ馬鹿って言うの、やめて下さい。 ちょっと待って、3円入りました、6円。 貞、代わって、お客さんだ、花瓶ですか。 花瓶、1円です、まけません。 うちは、絶対まけません、まけると分からなくなる。 落ち着け、落ち着け、たとえ話をしよう、そこにある招き猫20銭、二荷入りの水ガメとすると……。 もう駄目だ、結構です、二荷入りの水ガメ、お持ち下さい。 うちの店に平和を。 貞、塩を撒け。
まったく兄貴は、買い物上手だな。 よせってんだよ。
番頭さん。 貞吉か。 いいんですか、あの二人、持ってっちゃいますよ。 いいんだよ、今、考えたら、隣の店で二荷入りの水ガメ、3円で売ってんだよ。
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