2025-05-13
8日は『夏潮』渋谷句会、兼題は「卯の花腐し(くだし)」と「薔薇」で、私はつぎの七句を出した。
灯点らぬ家の卯の花腐しかな
ゴミ屋敷垣は卯の花腐しかな
豆腐屋への路地卯の花くだしかな
過ぎたるは古マンションの薔薇の門
洋館の窓に麗人バラの園
王様に嫁ぎピンクの薔薇となり
バラの庭開きて主鼻高高
私が選句したのは、つぎの七句。
卯の花腐し上り框で足袋を脱ぎ 千草
墓了ひの話卯の花腐しかな 照男
薔薇のやうな女(ヒト)でありしよ幼なより 英
風に佇てば薔薇の香りの通ひ来る 和子
人集り薔薇は紅色名はアイコ 真智子
薔薇えりて十一本をつつましむ 盛夫
ジプシーや一本の薔薇咥へたり 庸夫
英主宰は、選評にあたり、最近「コスパ」だの「タイパ」、タイム・パフォーマンスとか言うけれど、「タイパ」から一番遠いのが、俳句会。 今日も、「薔薇」という字をいくつ書いただろう、「薔薇」を何個書いても腹が立たない、「薔薇」が書けるようになる、無駄な時間のようだが、披講で同じ句が何度も耳に入ることで、どういう句がいい句なのか、身につくことになる。 字を覚える、長時間で楽しむのが、句会なのだ、と。
私の結果。 <灯点らぬ家の卯の花腐しかな>を英主宰と照男さんが、<豆腐屋への路地卯の花くだしかな>を耕一さんが、<過ぎたるは古マンションの薔薇の門>を英主宰が採ってくれた。 互選段階でたった2票だったが、主宰選に2句が入って、なんとか救われた。
主宰の選評。 <灯点らぬ家の卯の花腐しかな>…しんみりした句、ずっと空き家になっているようで、夜になっても灯が点らない、喪うものが迫って来る。寂しさ、不安、つらさを感じる。 <過ぎたるは古マンションの薔薇の門>…「過ぎたるは」という言葉、かつての豪華マンション、20年から40年経って、古色蒼然となり、アーチだけは薔薇のアーチがある、長いスパンの時代を見せてくれる。
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