自殺とうつ病
2007-10-07


 Uさんの「産業カウンセラーの仕事―職場からうつ(うつ病)と自殺を無く そう―」に戻って、自殺の実態からみてみよう。 自殺者数は、金融システム 不安が深刻化した1998年に、前年の24,391人から32,863人に急増した後、 99年 33,048人、00年 31,957人、01年 31,042人、02年 32,143人、03年 34,427人、04年 32,325人、05年 32,552人、06年 32,155人と、3万人台 が続いている。 年齢は30代が急激に増えている。 この間、男性だけが増 え、女性はほぼ同じ水準が続いている(99年 男性23,512人、女性9,536人 )。  主な原因は、それまでの健康問題から、経済・生活問題に変っている。 自殺 死亡率(人口10万対)を、国際比較すると、日本23.3、米国11.4、イギリス7.0、 フランス19.4、ドイツ14.9、イタリア8.0、スウェーデン14.2。 日本の自殺 者は、米国の倍、イギリスの3倍という異常な数字になっている。

 そして、現在の日本では、自殺する者の9割以上は精神科的な病気であると 推定され、その大半(6〜7割程度)が、うつ状態なのだそうだ。 うつ状態の 原因は、脳の神経細胞間の刺激伝達の障害(脳内物質の減少)であるとする説 が有力。 最も多い発病パターンは(1)ある程度長期間にわたって過度の精 神的負荷がかかることにより、神経が疲労困憊して神経の刺激伝達がうまくい かなくなるもの。(安倍首相はこれか?) (2)大切なものや慣れ親しんだも のを失う(喪失体験)ことによるもの。人事異動(昇進を含む)、転居、家族の 死、子供の独立、離婚、失恋、経済的困窮、仕事や受験の失敗、退職、体力や 能力の衰え。(朝青龍はこれか?) (3)大量の飲酒(アルコール中毒)や風 邪。(高島忠夫の例)

 うつ病の治療。 頑張れと言わないこと(うつ病の人はもう目一杯頑張って いる、根性で頑張り続けると悪化する)、仕事などの精神的負荷を軽減し、神経 を休めるとともに、薬(抗うつ剤)を服用し、神経の刺激伝達を回復させるこ と。 カウンセリングを受け、汗をかくほどの運動もいい。 軽症のうちに治 療するほど簡単に治る。 フィジカルな病気と同じように、病気なのだから、 本人や周囲が早く気づいて、受診することが大切。

うつ病には、自殺に至る心配があるのだから、周囲にそういう人がいたら、 きちんとかかわってほしい、とUさんは話した。

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