薔薇園吟行の選句、主宰の選と御句
2008-05-31


 「枇杷の会」旧古河庭園吟行での、私の選七句である。 ジョサイア・コン ドル設計の白い窓枠が印象的な、黒い石造りの洋館では、結婚式をやっていた。

 遠つ世の出窓を掠め夏燕       洋太

 渓谷の闇へ降りゆく日傘かな     同

 白薔薇の思ひのほかの白さかな    同

 四肢伸ばす五月の亀や雨催ひ     同

 薔薇の緋のうち重なりぬ挙式の日   知水

 心字池水面に映える薄衣       英雄子

 心字池佇む人の日傘かな       孝治

 蓋を開けてみれば、洋太さんの句を四句も採っていた。 この内、〈遠つ世の〉 と〈心字池水面に〉は主宰選になかった。 主宰は〈渓谷の闇へ降りゆく日傘 かな〉の「闇」が強すぎると「暗さ」とし、「かな」を取って〈渓谷の暗さへ降 りてゆく日傘〉と添削した。 「見学参加」、実はいつもうまい人で、この日の 祐司さんも、七句全部が主宰選に入っていた。

 ゆるき坂登りて行くや若葉風      祐司

 薔薇園や団子一皿三百円        同

 突き刺して薔薇の落花を集めをり    同

 本井英主宰の御句から。

 つぎつぎと薔薇を揺らして同じ風

 白薔薇のしまひこみゐる象牙色

 もう一度薔薇をめぐりて辞すことに

[慶應]
[俳句]

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