最初にニュージーランドに住み着いた日本人
2008-06-28


 オーストラリアの北、トレス海峡の木曜島で思い出したのは、熊田忠雄著『そ こに日本人がいた 海を渡ったご先祖様たち』(新潮社)という本である。 BS2 「週刊ブックレビュー」が土曜日の放送になった初日の4月5日、フランス文 学者で昆虫学の奥本大三郎さんが推薦していた。 よく調べてある、初めて知 った人ばかり、日本人は勇気があった、海外進出の気風、冒険心、開鑿中のス エズ運河を「スエズの堀割」、セーシェルやマダガスカルにもいた、と。 合評 に加わった諸田玲子さんは、小説以上にドラマティック、明治の人は熱い、け して日本人としての誇りを忘れない、刻苦勉励する、いいないいな、と。

 思い出したので、図書館で借りてきた。 日本人として、最初にニュージー ランドに住み着いたのは、明治半ば(1890年頃)、南島最南端の港町インバカ ーギルに上陸した野田朝次郎という17,8歳の少年だったという(田辺眞人園田 学園女子大学教授の調査)。 朝次郎の父は長崎の船大工で、明治13(1880) 年頃、港に入った英国船に修理を頼まれた。 しっかりした仕事ぶりに満足し た船長は、慰労と感謝の宴に大工を招き、彼は七つか八つの息子を連れて行っ た。 心地よく酔った父親は、息子のことを忘れて帰宅してしまった。 船員 たちが、船内に置き去りにされた子供に気付いたのは、はるか洋上でのことだ った。 英国船は洋上でドイツ船とすれ違い、日本に行くというので、朝次郎 少年を託したが、そのドイツ船は日本に立ち寄ることなく、世界各地を巡る。  朝次郎はボーイとなって10年を働く。 そして17、8歳の時、ニュージーラ ンドのインバカーギルで船を降り、この国で暮らそうと決意するのだ。

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