「読書という快楽へと誘う 本好きからの手紙が届く」と帯にある丸谷才一 さんの『蝶々は誰からの手紙』(マガジンハウス)に「本好き共同体」という言 葉が出てくる。 ある本を読んだ人が、その本のことを友達に話し、それを聞 いた相手もまた、すぐに読んでその感想を友達に話す、というふうになってゆ く。 本を読むしあわせと本について語る喜びが掛算のように広がってゆく。 こういう「本好き共同体」によって、われわれの文化は堅固に、そしていきい きと保たれるのである、と丸谷さんはいう。 そこでは、頼りになる目利き、 書評の名手の存在が重要になる。
5月に句会で三田完さんとご一緒し、句会後に一杯やっていた時、「馬場さん の好きそうな本」というのを教えてもらった。 岩下尚文(ひさふみ)さんと いう新橋演舞場にいた若い方(昭和36(1961)年生)が書いた『見出された 恋 「金閣寺」への船出』と『芸者論 神々に扮することを忘れた日本人』の二 冊で、ともに雄山閣から刊行されている。 『見出された恋』の帯には、こう ある。 「この小説は、若き日の三島由紀夫の恋を描いたものであるが、女嫌 いと噂され、悲惨な死を遂げた三島にかかる恋があったとすれば、まことにめ でたいことである。 哲学者 梅原猛」
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