12日は第499回の落語研究会、初席である。 きちんと「明けましておめで とうございます」と挨拶したのは、三番目に出た柳家喬太郎だった。
「駒長」 五街道 弥助
「兵庫舟」 三遊亭 王楽
「竹の水仙」 柳家 喬太郎
仲入
「愛宕山」 古今亭 菊之丞
「子別れ」 古今亭 志ん輔
五街道弥助は9月下席、真打昇進だそうだ。 美人局と書く「つつもたせ」 は、なかなかうまくいかない、といきなり「駒長」に入る。 お駒と長兵衛の 夫婦、一文も金がない。 深川から来る背負(しょ)い呉服屋で上方者(もん) の丈八にも損料が溜まっている。 上方のぜえろく野郎(ぜいろく・贅六…江 戸っ子が抜け目のない上方の人をあざけって呼んだ語で、才六の転だそうだ) は、嫌だ、「アホ」なんてぬかすから、という仕込みが入る。 長兵衛が、丈八 はお駒に岡惚れしている、商売物を広げていても目だけはお前を追っている、 美人局を仕掛けて、品物や金を取り上げ、裸にしておっぽり出そうと、持ちか ける。 お駒に証拠の手紙を書かせ、お駒を叩く喧嘩の練習もして、丈八が来 て止めに入るのを待つ。 お駒を叩いていると、まず来たのは「お稲荷様のお 札、一枚いかが」、次にきたのが「糊屋の婆さん」(弥助、このへんの呼吸がい い)。
丈八がやって来て、打ち合わせ通り、一緒になった時、仲に入ってくれた親 分に話をつけてもらうよう頼みに行くと、長兵衛が出かける。 「わてなら、 大事にしますんやけど」という丈八に、お駒の心が変わる。 「上方へいっし ょに行こやないか」「可愛がってくれますか」となって、嘘から出たまこと、置 手紙一本、二人はキューッといなくなる。
友達の家で、時間をつないでいた長兵衛、前祝に一杯やって、つい寝込み、 明け方近くになってしまう。 あわてて帰ると、もぬけの殻、置手紙を読んで、 外に出ると、前の家の屋根でカラスが「アホ!」
たっぷり書いたのは、弥助、9月の準備も万端と感じさせる、上々の出来だ ったからだ。
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