’61新入生歓迎会のプログラムに書いた詩
2012-04-11


 昭和36(1961)年度のオリエンテーション実行委員会では、小谷直道君が キャップになって、Orientation ’61の全体の案内(18頁)と、新入生歓迎会 のプログラム(12頁)をつくった。 ほうぼうの会社から広告をもらい、彼の センスの光る洒落たパンフレットが出来た。 秋から作業していた実行委員会 のルームの壁に、壁新聞の実行委ニュースを貼りだしていた私が、詩のような ものを書くのを知った彼が、新入生歓迎会のプログラムの巻頭に何か書けとい う。 昭和40(1965)年卒業の皆さん(除く、医学部)は、入学時にそれを 読まされたわけだが、そんなものを持っている人は、いないだろう。 物持ち のよい私が持っていたので、恥ずかしいけれど、若書きを引いておく。 小谷 君は、この詩のカットに、三田の丘にある「平和来」の彫像(朝倉文夫作)の 写真を配した。

『期待/失望/出発』

入学式が終り/学生たちはつぎに起る何かを期待して待つ/しかし 何も起ら ない 誰も指図しはしない/それは ぼくたちの入学した昨年の話/新しい級 友とも 新しい担任とも 会わず/学生たちは しかたなく 式場を出た/学 生新聞を10円で買い/はじめて自分のクラスを知った/「大学とはそんなと ころ/慶應義塾とはそんなところ」とぼくは思う/あのガラスと コンクリと で できあがった/つめたい 四角ばった第4校舎は/「大学」という名の ば かでかい彫刻なのだ/前の三列だけが 教授の冗談に笑う大教室などは/さし ずめ「大学」の圧巻かも知れぬ/きみたちは 大学に何かを求め/大学は き みたちに何も求めない/そこに 失望が生まれる/だが失望してはならない/ きみたちの4年間が 虚しい麻雀の4年間になるか/あるいは もっと ずっ と濃厚なものになるか/大学はそんなことに かまってくれはしない/そこに は きみが ひとりで たっているだけだ/しかも きみは もう出発して  しまったのだ/どちらかの 方向へ きみは 進んで行くほかない/勇気と  率直と 快活とを持って/きみの道を 開拓して いきなさい

馬場紘二〈経2〉

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