三浦半島・小網代の森、流域アプローチの岸由二教授
2012-11-21


 17日は日吉キャンパス公開講座「日本ってなんだろう―東北の魅力再発見」 の最終日だった。 全8回の6回を受講したので、5回以上が貰える清家篤慶 應義塾長名の「修了証」を頂いてきた。 いろいろと勉強になったので、まだ 書いていないものをいくつか、紹介してみたい。 なお、12月は全4回、慶應 の先生ばかり8名による「中国を視る目を養う」という講座があり、1回ずつ の受講も可能だという。 詳細は慶應義塾大学教養研究センターWEBページ で。 [URL]

 10月20日、岸由二(ゆうじ)経済学部教授の「流域で考える・東日本大震 災からの復興」が、情熱のこもった講義だった。 岸由二さん(65)、実は10 月8日の朝日新聞「ひと」に取り上げられていて、たまたま切り抜いていた。  その時は講座で話を聴くことと結びつけてはいなかった。 記事は、夏から秋 の大潮の晩、アカテガニの産卵で知られた「三浦半島・小網代の森の保全に取 り組んできた」、進化生態学が専門で、30年近くこの森で生き物の営みを見守 ってきて、開発が迫った1984年、保全活動に加わり、今はNPO法人・小網代 野外活動調整会議の代表を務める。 この森の価値を地道に伝え続けると、95 年に神奈川県が森全体の保全を表明、2010年までに78億円を投じ、保全に必 要な45ヘクタールの取得を完了した。 今年6月、これまでの歩みをまとめ た『奇跡の自然』(八坂書房)を出版した。

 岸由二さんは、流域単位で環境保全、治水、まちづくりを考える「流域思考」 の定着がライフワークだ。 子供のころ夢中で魚や虫をとった鶴見川でも保全 の取り組みを続ける。 70ヘクタールの小網代の森全体が、全長1.2キロの浦 の川に雨水を集める流域だ。 川も森も源流から河口まで、住宅や道路で分断 されず、干潟、リアス式の湾へと続く。 このひとつながりの自然が、アカテ ガニの楽園を可能にする。 流域単位で環境を守る暮しを広め、都市を再生す る、地球と向き合う文明へ、「300年先を見てやっています」と、森山浩之記者 に語った岸由二さん、公開講座ではその流域思考(アプローチ)で東日本大震 災被災地の過去・未来、復興と列島再定住を考えてゆく。

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