明けましておめでとうございます。 今年も吉例となった俳誌『夏潮』一月 号の親潮賞応募作を、初笑いのタネにご覧いただくことにする。 東京の町中 に住んでいて、朝の散歩は、自然とふれる数少ない機会の一つである。 過去 の句帳から、この時季、正月から、春の到来までの、朝の散歩で拾った句を並 べてみた。
淑気満ち東雲に月尖りたる
寒風をものともせずに冬薔薇
寒散歩犬も主も振り向いて
鵯の来て金柑に網かけてあり
節分の豆ぽつぽつと雪の上
湿り気を吸い込む雪の明日かな
寒月を目指し川鵜の並び行く
四日目は円空仏よ雪だるま
一番の寒さの先に春の光
ロゼッタはぐにやりと春を待ちにけり
頬骨に食い込むやうに冴返る
笹鳴の朝ぼらけから励みけり
春の朝町の底から明るくて
スイトピーローランサンのピンクかな
しだれ梅艶をまとひてひとり立つ
鶯や郵便局へ下りる道
落椿順に並べてありにけり
あたゝかや道には蟇の轢死体
あたゝかや薹の立つたる花きやべつ
生垣も比奈夫の赤に芽吹きをり
結果は当然ながら、入賞はもちろん佳作にも入らず、その他応募作の尻の方 に〈頬骨に〉〈笹鳴の〉〈スイトピー〉が紹介されただけだった。
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