小満んの「つるつる」後半
2013-02-01


 柳橋の料亭。 はい、竹の間ですね、下へご挨拶して来ます。 先ほどは電 話で失礼、大将は競馬ですか、お尻から一等賞、ゴルフ、麻雀、鉄砲、釣りと お忙しい。 お嬢ちゃん、白い粉叩いてもらって、お綺麗ですよ。 坊ちゃん、 ピストルですか、手を上げろ、一八改めアパッチ、情けないね、ご祝儀出ない んだ。 お福さん、布団の綿の入れ替えですか、貯蓄がかさんできたという噂 ですよ、通帳は七、〇、〇、〇、〇となっているとか。 みんな可愛い猫です ね、こんちはーーー。

 ほどなく繰り込んできますよ、いつもの連中。 今、何時? ヒーさん、先 夜はどーも、ヒーさん、先夜はどーも。 一八、今夜は働くな、客にしてやる から、えばって殿様気分で。 何かして遊びてえ、俺がこれを出そうじゃない か、財布だ、頭を半分刈って二十円。 ハンガリーか何か、言おうてんですか、 今夜はいけない。 下って十両、目の中に指を入れる。 生爪はがして五両。  一両で、ボカッと殴る。 算盤でボカボカ、パチパチ。 ぶち所は? 目と鼻 の間。 五十銭で肩。 かかとは二十五銭。

 コップ一杯一円はどうだ、息をつかずにグッグッグッと。 いい飲みっぷり だ。 一両やるぞ。 照ちゃん、照奴さん、ご愛嬌たっぷり、笑窪が可愛い、 アイコンタクト、七、八分目にして。 また一杯についじゃった。 大将、頂 きました。 酌人代えて、ふーちゃん、明治座の踊りのおさらい、なぎなたが 七三で決まったよ、おっ母さんが涙だった、一杯にしちゃったよ、頼んでるの に。(と、だいぶ酔って来る) 大将、頂きました。 いいのか、無理すんな。  こんなに、なみなみと…、いいお兄イさんだ、いい商売だ。 帰りに大きなが ま口かなんか、拾いそうだ。 そう、帰れば小梅ちゃんが待ってる。 足掛け 十三年のご贔屓、帰って帝釈様に拝むんだよ、あなたのことを芸者衆が褒めて いる、浴衣にニッカボッカが、よく似合うと。 半分頂いたのに、一杯になっ ちゃった。 誰がついだのか、手手見せろ。 ふーちゃん、まさか貴女だと思 わなかった。 大珍談、鳴尾の競馬、有馬温泉に行く旦那の見送りで東京駅へ 行って、丸の内の洋食、精養軒でビーフストロガノフなんぞ食べていると、か のふーちゃんのそばに、乙な感じの…、くすぐっちゃ困る、また一杯になっち ゃった。(もう、グテングテン) 軽く歌って、♪女房でも切れる……口約束で はなおのこと、チャカラカチャン、チャカラカチャン…。 ようやく逃げ出し た。 チャンチャチャ、チャンチャン。

 開けて下さい、お清さん。 ベロベロね。 お土産(みや)は、紐ばかり、 ポストの所に玉子焼と海老の鬼殻焼が…。 師匠、お帰りになってる。 これ でチン、チーンと来たら、師匠の枕元を通らないと、小梅の所へ行けない。 茶 の間の明り取りから下へ行こう、帯を解いて、梁に結び、素っ裸、目が回るか ら手拭で目隠しをして、釣瓶の要領で降りようと考えている内に、グーーッと 寝込んでしまった。 はたと気づいて、つるつると下に降りると、茶の間では みんなで朝飯の最中。 どうしたんだ、寝ぼけたのか、フンドシ一本で。 え っへっへ、ターザンの夢を見ました。

[落語]

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