柳家花緑「親子酒」のマクラ
2017-04-04


 今日の噺は、みんな短い。 私もご存知の噺で、時間がある。 土地の食べ 物、例えば広島のお好み焼。 家の近所に、いい店を見つけた。 広島風とは 何だ、お好み焼だと言う。 自分で作るのは、不可能。 東京と大阪では、切 り方が違う。 大阪で「ピザ切りじゃん」て言われた、大阪は端から切る。 広 島は、クレープみたい。 その店、鉄板の前のカウンターがいい席で、6時ぎ りぎりに行ってもダメ、5時45分ぐらいに行けば、どうやら座れる。 6時半 には満員。 一杯ですね、と言うと、たまたまですよ、と言うけれど、いつも 混んでいる。

 目白に、同級生がやっている洋食屋がある。 いつも、いっぱいだねって言 うと、たまたまですよ、これ全部サクラ。 自信があるから、言える。 お蔭 様で、なんて言わない。 こういういいものを、取り込みたい。 落語会が終 って、一杯でしたねって、言われて、たまたまですよ、全部サクラで。

 長崎ちゃんぽんが好き。 皿うどんは東京で覚えた、新宿のクラブで権太楼 師が食べていた。 お前のは柳家だと言う、目白で近所の中華屋から取ってい た。 長崎は違うんです、ウスターソースが決まり。 皿うどんで終わり、夢 のよう、ワン・プレート、得した気分、おやつみたいなのは、子供の頃のベビ ースター・ラーメンのよう。 長崎では、お酢とか、かけるんですか? って 聞かれる。 どうぞ、かけて下さい、と。 ウスターソースかけると、美味し い。 よりベビースター・ラーメンに近くなった。

 (旅の)土地で、幕の内弁当出すの悲しい。 セットになってくるのは、土 地のお酒。 私は、お酒が苦手で、それが許されるようになった時代に甘えて、 今まで来ている。 隔世遺伝で、母は呑める、祖父の小さんは呑めなかった。  公園でひっくり返って、自由人に面倒を見てもらったりしていた。 三十いく つで、ポジティブに、はきはき覚えたと、言っていた。 そして、一升壜で朝 までハシゴ酒ということになった。 酒を呑めないって言うと、人生の半分、 損しているね、って言われる。 だけど、その人、人生、得しているようには 見えない。 主催者が、じゃあ焼酎をどうぞ、とくれた。 長崎では、アルコ ールって言わなければならない。 一か月ほど前の話。

 これから申し上げる噺は、親子が禁酒の約束をした噺で(と、派手な空色の 羽織を脱ぐと、濃い藍色の紋付の着物で、襦袢の衿が空色だった)。

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