市川猿之助の「奴道成寺」
2017-04-13


 三、「奴道成寺」は、市川猿之助の踊りである。 猿之助が慶應(文学部国文 科、平成10(1998)年卒)なのは、俳句会に同期の女性がいて亀治郎の頃に 「亀ちゃん」と呼んでいたから知っており、わが家では猿之助になっても、ず っと「亀ちゃん」なのであった。 「奴道成寺」、近江国三井寺はちょうど桜の 季節、パッと明るく華やかな舞台となる。 猿之助は白拍子花子 実は狂言師左 近、40分ほどにわたり、花子の凛とした踊り、正体を現した左近の三つの面を 使い分けての軽妙な踊りと、見事な衣裳の数々の早変わりで見せる。 10日朝 日新聞夕刊で、天野道映(評論家)さんは、猿之助の三つの面を使い分けての 踊りと、その後の涼しい顔の落差の大きさを、両方とも「超絶技巧」と評した。

 実は、猿之助の「道成寺」だが、亀治郎から四代目市川猿之助になった2012 年からの襲名披露のファイナル、2014年10月の新橋演舞場の十月花形歌舞伎 で、『金幣猿島郡(きんのざいさるしまだいり)』三幕「大喜利所作事 双面(ふ たおもて)道成寺」四世鶴屋南北作で観ていた。 『金幣猿島郡』は三代目猿 之助四十八撰の内ということで、四代目猿之助は「奮闘連続公演」の看板通り 「宙乗り相勤め申し候」、女形あり、立ち回りあり、面を変えての早変わりの踊 りありで、大活躍を見せたのであった。

 その時のことは、このブログの下記にくわしい。

『俊寛』と喜界島の胡麻<小人閑居日記 2014.10.18.>

[URL]

『金幣猿島郡』市川猿之助の奮闘<小人閑居日記 2014.10.19.>

[URL]

 そこでは舞台回しに、「能力」が登場し、その意味を調べて書いているが、今 回の「奴道成寺」では、「所化(しょけ)」が舞台回しを務める。 「所化」と は、教化されるものの意で、寺で修業中の僧。 対義語に「能化(のうけ)」が あって、一切衆生を教化するもの、すなわち仏・菩薩だそうだ。 前にも書い ていたが、歌舞伎は何かと勉強になる。

[慶應]
[文化]
[歴史]

コメント(全0件)
コメントをする


記事を書く
powered by ASAHIネット