「中秋の名月」前後、月の呼び方
2017-10-10


 「月々に月見る月は多けれど月見る月はこの月の月」という。 テレビの天 気予報などが、10月4日(水)は「中秋の名月」だといって、騒いでいた。 わ が家でも、それに釣られて空を見て、雲の一部が明るくなっているのがそれだ ろうなどと眺めていた。 しばらくたって、雲の合間に、「中秋の名月」が見え た。 そこで一句、<老夫婦雲の切れ待つ良夜かな>。 家内は、「老夫婦」が 気に入らないと言う。 どこかの家の「老夫婦」を見ているのだ、と言う。 「良 夜」は、『ホトトギス新歳時記』に「秋の月がくまなく照らす夜のこと。いまで はもっぱら名月の夜をいうようになった」とある。 私は、山口青邨の、<人 それ\゛/書を読んでいる良夜かな>という句が好きだ。

 陰暦八月十五日の月を、「中秋の名月」という。 旧暦では、秋は七・八・九 月の三か月、八月を「仲(中)秋」という。 俳句の季題では、名月のほか、 明月、望月、満月、今日の月、月今宵、などの傍題がある。 『歳時記』を改 めて見ると、「名月」の近辺に、毎日の月の呼び方がある。 テレビの天気予報 なども、それは言わないし、私も含め名前は聞いたことがあっても、うろ覚え の人が多いようなので、書いておく。

待宵(まつよい) 陰暦八月十四日の月 平成29年10月3日(火)

名月  陰暦八月十五日の月 平成29年10月4日(水)

十六夜(いざよい) 陰暦八月十六日の月 平成29年10月5日(木)

  ↓ だんだん月の出が遅くなる。

立待月(たちまちづき) 陰暦八月十七日の月 平成29年10月6日(金)

居待月(いちまちづき) 陰暦八月十八日の月 平成29年10月7日(土)

臥待月(ふしまちづき)寝待月 陰暦八月十九日の月 平成29年10月8日(日)

更待月(ふけまちづき) 陰暦八月二十日の月 平成29年10月9日(月)  月の出は、亥の正刻(午後十時)。「二十日亥中(はつかいなか)」ともいう。

宵闇(よいやみ)陰暦八月二十日以降の月 平成29年10月10日(火)以降

二十三夜(にじゅうさんや) 陰暦八月二十三日の月 下弦の月 平成29年10月12日(木)

 実は「名月」と「満月」は、天文学的には、ずれる年があって、今年もそう だった。 「名月」は10月4日(水)で、「満月」は10月6日(金)になっ た。 旧暦では「新月を含んだ日」が「朔日」(さくじつ、ついたち)になる。  この条件だと、24時間の内のどこかに月があれば、「朔日」になるから、それ が1日の午前0時の直前だったりすると「新月」から「満月」までの経過日数 は15日の午前0時では13日、15日の24時では14日になる。 経過日数の 最短は13日、最長は15日、平均が14.8日になる。  詳しくは、国立天文台の「名月は必ずしも満月ならず」参照のこと。 [URL]

 俳句では、「中秋の名月」を待つ心から、陰暦八月初めの月を「初月」(はつ づき)と、この月に限りめでていう。 陰暦八月二日の月は「二日月」、陰暦八 月三日の月を「三日月」という。 「三日月」は、夕暮、西の空にごく細くか かる。 「三日月」の傍題に「新月」があるのは、「二日月」まではほとんど見 ることができないので、初めて西の空に見える「三日月」をいうからである。  天文学上では朔の月を「新月」というが、地上からは見えない。

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