マグマの上昇と火山の噴火
2018-04-19


 『新しい高校地学の教科書』 2-2-5「マグマの上昇と火山の噴火」 マグマ (岩石の溶けたもの)は上部マントルでつくられ、周囲の岩石より密度が小さ いため上昇していく。 しかし周囲の岩石も上方ほど密度が小さくなっていく ので、マグマと岩石の密度が接近してくる。 すると上昇がとまり、そこにマ グマ溜まりがつくられる。 マグマ溜まりでゆっくり(数十万〜数百万年)マ グマが冷え固まると深成岩が形成される。

 一方、一部のマグマは地殻を突き抜けて地表に達し、火山をつくる。 マグ マが上昇する原動力は浮力なので、マグマが地表に達するには周囲の岩石がマ グマよりも高密度でないといけない。 しかし、地表付近の岩盤はすき間が多 かったり軽い石でできていたりして、マグマよりも低密度であることが多い。  この場合、マグマは浮力を得られずに、地下数kmの深さにマグマ溜まりをつ くる。 しかしここまで来ると圧力が下がり、マグマに溶けていた水などの揮 発性成分が泡になって出てくる。 ガスが岩盤の割れ目を見つけて逃げ出す、 これが「火山ガス(噴気)」だ。 マグマの発泡が一気に起こると、マグマ全体 の体積が急増し、この圧力でマグマが岩盤の弱い部分を突き破って噴き出す。 これが「噴火」である。

 内部の圧力が火口に詰まっていた石屑を吹き飛ばすと、まずマグマの飛沫が ガスと一緒に噴出される。 これが「火山灰」である。 火山灰を巻き込んだ 高温のガスは噴煙となってぐんぐんと上昇し、成層圏に達して広範囲にまき散 らされることもある。 マグマの飛沫のうち大きいものは、重いので火口の周 りにまき散らされる。 空中に放り投げられた際にねじれたり引き伸ばされる と、そうした形のまま固結して特徴的な形の塊となる。 これを「火山弾」と いう。

 ガスの量が非常に多かったりマグマの粘性が高い場合は、マグマの中で激し い発泡が起こる。 発泡によってちぎられたマグマ片(岩石塊)や火山灰を大 量に含む数百度℃ものガスが斜面を高速で流れ下る。 これを「火砕流」とい う。

 最後にガスの抜けた「溶岩」本体が火口にあふれ出し、斜面をゆっくり流れ 下る。 場合によっては頂上の火口からではなく、山腹に割れ目火口をつくっ て流出することもある。 やがてマグマを噴き出す圧力が弱まり、噴火は終息 に向かう。 マグマ溜まりの物質が大規模に放出されたりして失われると、火 山体を支える圧力が急激に下がり、中央部が大きく陥没して「カルデラ」とい う大きな窪地を形成することもある。

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