古今亭志ん吉の「熊の皮」
2018-06-03


 30日は第599回の落語研究会だった。 あと1回で第600回、まるまる50 年になる。 よくもここまで定連席券をつないできたものだ、何度も早朝から 酷い寒さの中を行列したりしたっけ。 健康と自由に感謝だ。

 「熊の皮」    古今亭 志ん吉

 「蚊いくさ」   三遊亭 好の助

 「鉄拐」     柳家 小満ん

       仲入

 「ちりとてちん」 柳家 甚語楼

 「五人廻し」   橘家 圓太郎

 志ん吉は、オレンジ色の着物に、こげ茶の羽織、16分ほどの短い噺だと、始 める。 ぼんやりした人がいる。 身近にもいて、高校の生活指導の先生が、 朝礼で怒鳴った、「最近スカートの短い生徒がいる、特に女子!」

 甚兵衛さんのおかみさん、女房が強くて、亭主が弱い。 女房が「オイ」と 言って、亭主が「ハイ」、「オイハイ」の夫婦(羽織脱ぐ)。 おっかあ、今、帰 ったよ。 早いんだね。 いけないか。 いいんだよ帰っても、もう一回りし て来たらどうなんだい。 今日はよく売れたんだ、大八車に菜っ葉一つ残って ない。 帰って来るの、待ってた、急用がある。 上がる前に、水を汲んで来 ておくれ。 お前が汲めばいいだろう。 男は力がある、井戸にも近い。 桶 は両手に持って。 汲んできたよ。 瓶に明けて、お米、量ってあるから研い で。 水汲んできた人が研げば、お米が喜ぶ、毎日やりゃあ、覚えるよ。 表 の盥に洗濯物がある。 この派手なのは、お前の腰巻だろう、それでなくても、 甚兵衛さんは女房の尻に敷かれているって、言われてるんだ。 私が、洗えっ て、言っているんだよ、口で言っている内に、洗ったらどうだい。 洗ったら、 干して。 まだ、上がっちゃあ駄目、横丁の先生のところへ、お赤飯頂いたお 礼を言って来ておくれ。 これっぱか、もらったのにか。 お屋敷で、おめで たいことのあった、お裾分けだよ。 裏口から、ごめん下さいって、行くんだ よ。 書生さんが出て来るから、先生はご在宅ですか、お目にかかってお礼が 言いたいって、言うんだよ。 さて承りますれば、お屋敷でおめでたいことが ございましたそうで、お門多い中を、手前どもまで、到来物のお赤飯を頂きま してって(口上を教わる)。 何日かけて、覚えるんだ。 地下鉄掘ろうってん じゃないよ。 一番終いに「私がよろしく」って、言うんだよ。 おれが、私 がってか? 「女房がよろしく」を忘れてきたら、家に上げないよ。

 先生はご在宿です。 先生に会って談判したいことがあって来ました。 お 長屋の甚兵衛さんかい、談判したいってのは何かね、私は長屋で甚兵衛さんが 一番好きだ、甘い物が好きだから、羊羹切って、お茶の支度を。 私は先生の ことが一番嫌いで。 甚兵衛さん、脂汗かいて、青白い顔で、具合でも悪いの か。 こっちにも言い分がある、先生はご退屈ですか、ご退屈でしたらお目に かかりたい。 しっかりしておくれよ、目の前にいるじゃないか、絶好調だね、 お前さん。 さて、ウッ、ウッ、うけった、マス釣り、行きますか。 お屋敷 でお弔い(到来物)がありましたそうで、お石塔(お赤飯)をありがとうござ います、これっぱかり。 いいなー、甚兵衛さんは、さて、承りますれば…… と、こう言いたかったんじゃないか。 そうですよ、それだけ知ってて、横着 な。 わざわざ、礼に来ることはない。 そうでしょう、これっぱかりで。 


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