『まいにち養老先生、ときどき まる』スペシャル
2021-04-04


 テレビばかり見ているようだが、巣籠りでテレビばかり見ているのだ。 一昨日も城島茂、国分太一、松岡昌宏の三人が株式会社TOKIOをつくったというニュースを見て、「長瀬智也は辞めたんだ。プロレスに行ったんだ」と言った。 若い人は、テレビは見ない、新聞は読まない、というが、巣籠りでも、スマホやパソコンを見ているのだろうか。

 3月13日放送の『まいにち養老先生、ときどき まる』スペシャル(永井朝香ディレクター)を見た。 猫の「まる」は、18年前に養老先生のところに来て、2020年12月に死んだ。 番組は、「まる」がいた頃の、養老先生と「まる」に密着している。 養老先生はつぶやく。 養老先生のつぶやきは深遠、難解で、当方は「バカの壁」にさえぎられるから、そのまま書くほかない。 「人間はたちがいい、消えるもん。」 「くよくよ考えても、しようがない。」 「ボケーーっと、だいたい寝ている。」

友人の生物学者、池田清彦さんが来て、養老先生はゾウムシの解剖をやっている話をする。 大きな顕微鏡で覗くと、細部が何とも絶妙につくられていることがわかる。 人間の眼が、「見えるのは1割。9割は脳味噌で見ている。」

〇東慶寺の墓地。 「人間は不安と折り合わなきゃあいけない。墓は「よすが」、記憶」だと、養老先生。   そこで、『広辞苑』で「よすが」【縁・因・便】を引く。 (1)ゆかり。たより。えん。 (2)夫・妻・子など頼みとする相手。よるべ。手がかり。 (3)物事をするのに、たよりとなること。手がかり。  養老先生は、5歳の誕生日の前に父を亡くした。 「自分」の死はない。 死は二人称。 「知り合い」の死だけ、感じる。

〇大塔宮(おおとうのみや・護良親王)鎌倉宮。 6月に入院した。 83歳。10s以上痩せた、検査で引っ掛かって「心筋梗塞」と判明、手術をした。 運がよかった。 テレビの画面にお地蔵さんが五つ、地味なお迎え。 ついて行けば、死んでいた。 よく、寝る。

 〇安国論寺。 日蓮が建長5(1253)年に開山。 元寇(文永11(1274)年、弘安4(1281)年)の前、不安な時代。 平安から鎌倉へ。 平安は、情報化社会、頭の時代、時間が経っても変わらない。 『方丈記』は変わる(人生は無常、諸行無常)、鎌倉は、身体の時代、考え方の前提が変わる。 どんどん変わっていく。 年を取ると、頭の時代から、身体の時代へ。 今(現在)は、頭の時代、だんだん身体のことを考えるようになる、健康に。 自分は「存在自体が、不要不急」。

 人間にはドーパミン回路があって、報酬系(欲求が満たされたときや満たされるとわかったときに活性化し、快い感覚をもたらす)。 予測がずれると、活性化する。 新しいものを、追いかける、“More”モア。 それが、やがて恋愛から生活になるように、“Here & Now”「今、ここ」、日常に切り替わる。 現在を受け入れる喜び。

 足立真穂(編集者)『新潮』「コロナの認識論」担当が来る。 「参勤交代」は二拠点、場所依存と先生はおっしゃつていたけれど、「まる目線で生きる」を書くのは、どうですか、と提案。  〇文化は裏。 文化は解毒剤。 入って来るものを、変えてやる。 対人から、対物へ。 ビル、アスファルト、車から、花鳥風月へ。

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