上野リチのデザイン・ファンタジー
2022-03-31


「上野リチ : ウィーンからきたデザイン・ファンタジー」展、膨大な量の作品が展示されている。 よくこれだけ残っていたものだと感心した。 上野リチのデザイン世界の全貌を展観する世界初の回顧展として、リチの大規模コレクションを所蔵するウィーン、ニューヨーク、そして京都から作品が集結したのだそうだ。

 近年は何に対しても、どういう局面でも、「かわいい」という言葉を使うけれど、リチのデザインは一口に言って「かわいい」のだ。 花や鳥といった身近な動植物の形や動きをよく観察し、線と色で置き換えて生み出される、軽やかで、自由な、色調豊かなデサインは、リズミカルで、明るくて、何とも楽しい。 建物や人物、ピエロといった素材も、同じように料理されている。 壁紙、プリント服地、スカーフ、ハンカチ、屏風、七宝飾箱、キャンデーボックス、マッチ箱、煙草入れから、ボタン、竹のトング、スキー用手袋まである。

 上野伊三郎との協働で、住宅や店舗デザインにも携わった。 錦天満宮近くにあった飲食店「スターバー」は、伊三郎の設計によるシンプルでモダンな外観と、リチらしい優美な店内装飾の対比が鮮やかで、ニューヨーク近代美術館で紹介されるなど国際的にも注目を集めたそうだ。 私の記憶に残っているのは、日比谷の日生劇場のレストラン「アクトレス」100坪の装飾天井壁画だ。 日生劇場を設計した村野藤吾の依頼で手掛け、リチの仕事の集大成といわれる。 レストランが1995(平成7)年に改装された際、廃棄されることなく、リチが教鞭を取っていた京都市立芸術大学に保存されたそうだ。
100年前に来日した女性デザイナーのファンタジーな世界 〓 Visit Chiyoda (visit-chiyoda.com) で画像を見ることができる。

 ここまで書いて、下記を書いていたのを、見つけた。
「上野伊三郎+リチ」のウィーン<小人閑居日記 2009. 5.12.>
「上野伊三郎+リチ」の京都と工芸<小人閑居日記 2009. 5.13.>
日生劇場のレストラン「アクトレス」<小人閑居日記 2009. 5.22.>
[美術]
[文化]
[歴史]
[世界]
[日本]

コメント(全0件)
コメントをする


記事を書く
powered by ASAHIネット