大相撲の呼び出しは、着物に裁付袴(たっつけばかま)で、着物の背中には、「紀文」「なとり」「スギヨ」「シーチキン」「救心」などスポンサーの名前が入っている。 水産加工品の会社が多いのは、なぜだろうか。 古くは大相撲と魚河岸の関係などからきているのか。 「なとり」は、おつまみ各種を埼玉の工場で生産している東京都北区の会社。 「スギヨ」は、カニカマなどの水産加工品を製造・販売し、本社や3工場が石川県七尾市にあり、従業員750名。 能登半島地震で被災した。
「スギヨ」は、1907(明治40)年七尾市作事町で杉野屋与作が練物屋の「杉与商店」を創業、ちくわの製造・販売を開始した。 主力商品のカニカマは、1972(昭和47)年、人工クラゲの開発の過程で、その失敗作がカニの風味に似ていることから誕生した。 「かに風味かまぼこ」である「珍味かまぼこ・かにあし」として、初めはフレーク状で製造・販売を開始する。 後に現在の棒状にし、最近は「香り箱」が主力。 1952(昭和27)年に販売を開始した「ビタミンちくわ」の元祖でもあり、長野県のソウルフードとなっている。 地元北陸での販売量は3割程度で、7割は主に長野県で消費されているという。 1986(昭和62)年には、米国ワシントン州アナコルテス市にスギヨUSAを設立した。
杉野哲也社長は17日、朝日新聞の取材に、こう答えている。 七尾市内の3工場が被災、天井や壁が崩れたり、機械が倒れたりして、現在も操業を停止している。 工場を動かすことが、地域経済の活力になる。 「カニカマ」系から進めて、早いものは2月中に生産を再開したい。 「ビタミンちくわ」は、数か月遅れる見込み。 国や県に被災企業向けの支援の具体化を急ぐよう求める。 「事業者がいなくなれば、奥能登から人がいなくなる」と、危機感を強調した。
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