第15話「死を呼ぶ手袋」。 西の丸様、将軍家治の嫡男・家基は、老中・田沼意次といろいろ意見が合わなかった。 その家基が、鷹狩りの最中に突然死する。 家基と老中・田沼意次の確執は、公然の事実なので、「意次が暗殺を仕組んだのでは?」という噂が広まる。 将軍家治は、松平武元と意次に調査を命じる。 だが西の丸で行われた徹底的な調査でも、怪しい痕跡は見つからない。 意次が平賀源内に調査させると、家基が苦しみだしたのは、鷹を逃がし、悔しそうに親指を噛んで、手袋を脱いだ直後だった。 その色鮮やかな手袋に、何か仕掛けがあったのか。 その報告に、意次は衝撃を受ける。 その手袋は、意次が種姫に贈ったものだったからだ。
その証拠の手袋は、松平武元の手に渡り、呼び出された意次は茶室で武元と対面する。 毒を仕組んだのはお前ではない、もしそうなら、自分の手に渡る前に隠滅を図っているだろう、と武元は言う。 冤罪の危機はひとまず回避され、二人で家基の死の真相を探ることになる。
ところが、その夜、武元の屋敷で事件が起こる。 問題の手袋が、何者かによって盗まれた。 障子には、手袋を持った女の影が一瞬映り、すぐに消える。 そして、武元が絶命していた。 なぜか、一橋治済が笑った。
第16話「さらば源内、見立は蓬莱」。 家基の死も、武元の死も、田沼意次の仕業ではないか、という噂が飛び交い、意次は追い込まれる。 意次は平賀源内を屋敷に呼び、家基の死に関する調査を終えるように命じる。 これ以上、深入りするな、という警告だったが、源内は納得せず、礼金も受け取らずに立ち去る。
源内は、蔦重に旗本屋敷の普請の図面を書く仕事を頼まれた、と話す。 源内が、ある朝目を覚ますと、手に血の付いた刀、前には血を流して久五郎が倒れていた。 奉行所に捕えられた源内、事件の前夜、図面を頼まれた丈右衛門と久五郎と酒席を囲んだのは確かだが、下戸の源内は酒を飲んでおらず、久五郎に渡された煙草を吸った途端、どこからともなく人々の非難の声が聞こえ始め、姿の見えない声に追詰められるうちに、意識を失ったのだった。 意次が源内の牢へ面会に行くと、源内は田沼様の差配で請けた仕事があった、と話すが、意次にはまったく覚えがない。 源内の混乱はさらに深まり、夢と現実の境界が曖昧になっていく。 意次は、「夢ではない。俺はここにいる」と、言葉をかける。
蔦重、杉田玄白、須原屋市兵衛らは、田沼意次のもとを訪れ、源内を助けるように懸命に訴える。 源内が所持していたのは竹光で、事件の凶器とは違うものだ、下戸の源内が酔って犯行に及ぶはずはない、「源内は何者かにはめられたのではないか?」と。 だが、蔦谷重三郎に「耕書堂」の名を贈った平賀源内は獄中で亡くなってしまうのだ。
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