「地獄に落ちても、落語と心中なら本望だ」
2025-09-27


 日之出荘の部屋。 菊比古は助六に、「一人の方がいい、助といると楽しい、楽なことはない。でも手前の落語と向き合えない。私はお前さんとは違う。お前さんといて、どんだけ苦しいか(と言い、助六の顔を叩く)。落語は好きなのは、変わらない。客に受ける噺がしたい。」 助六は、「俺は、客に合わせて変える。変わらない落語は、お前さんの仕事だ。二人で新しい落語をつくり続けるんだ」。 菊比古は、「みの吉を忘れ、手前の落語に打ち込みたい」。

 雨竹亭、7月1日「納涼落語会」。 お栄が、みの吉に「行かなくていいのかい、菊さんの大きな日だろう」と。 みの吉は、駆け出して行き、雨竹亭の前で倒れる。 助六は「死神」、菊比古に「地獄に落ちても、落語と心中なら本望だ」と。 楽屋で協会会長(辻萬長)は、八雲に、「まくら、なしかい」と。 テンポがよくて、客に受ける。 菊比古は、「助、俺にはできねえ落語だ、これが私の心底欲した落語だ、助、やんなさった」。

 昭和30年春、二人の真打披露、三本締め。 協会の会長は、八雲のツラをつぶすといけないからと、二人同時の昇進を認めた。 だが、助六は披露目で毎日違うネタをかける。 そして、八代目八雲になるために生きてきた、と。 ついに会長の十八番、「居残り佐平次」を始めた。 喧嘩、売ってやがる。 会長は、席を立つ。 スピード感があり、明るい佐平次、助六は大受け。

 真打披露目の夜、菊比古は、けじめを付けなければならないことがあると、みの吉に会う。 「いくらでも、責めてくれ、一晩それを聞きに来た、殴るなりなんなりしてくれ。」 「そんなこと、出来っこないわ、田舎に帰ろうかな、爺イの妾にでもなって、一人で生きなけりゃあ。」 「居場所は、自分でつくるものだ。」 「絶対に、復讐する。死んだら、化けて出るから、今度会う時は地獄で。」

 七代目は、助六に、「会長の前で「居残り」をかけるなんて。落語を壊すな。」 「落語を壊すんじゃない、変えるんだ、師匠の落語は…。」 「八雲の名は、菊にやる。幹部会にも話してる。品のない野郎にやれる名前じゃない。帰えれ! この際、破門してやる。手前で勝手に生きろ!」

 夜桜の下に、みの吉と助六。 「ねえ、桜っていつも、いつの間にか散っちゃうんだよね。私、振られちゃった! 何があったの、話をきいたげる。」 二人は、抱き合う。

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