「小錦の故郷」考
2006-10-18


 16日の朝日新聞朝刊「時流自論」に渡辺靖慶應義塾大学教授(文化人類学・ アメリカ研究)が「米領サモアで考える「自立」」を寄稿していた。 南太平洋 のポリネシア地方、ハワイとニュージーランドのほぼ中間にある米領サモア(東 サモア)の話だ。 サモア諸島は、19世紀後半の植民地化の過程で列強により 東西に分割され、1900年以降、東サモアは米海軍の軍政下に入った。 第2次 大戦後、海軍の拠点がハワイに移って、領内の経済が急速に悪化、ケネディ大 統領の時代に大規模な連邦資金の投入による「上からの近代化」が始まり、今 日でも連邦政府からの補助金が歳入の6割を占め、雇用の4割は政府関連のも のだという。 西サモアは1997年からサモア独立国となっている。

 その一文に気になる個所があった。 サモアが「日本では小錦や武蔵丸の故 郷として有名だ」というのだ。 有名どころか、まったく知らなかった。 サ モアがサマセット・モームの「雨」の舞台であることは、知っていたけれど。  国技館の場内アナウンスだって、二人とも「ハワイ、オアフ島出身」と言って いた、と思う。 

 図書館に行ったので、相撲の棚を探すと、小錦八十吉著『はだかの小錦』(読 売新聞社・1998(平成10)年)があった。 小錦は、本名サレバ・アサティ ノエ、1963(昭和38)年12月31日、米国ハワイ州オアフ島のホノルル郊外、 ナナクリ、ホロポノの生れ、だという。 父親はパール・ハーバー(真珠湾) で船のエンジンを修理するエンジニアというので、おやおやと思ったら、つぎ のような記述があった。 「父の名前はラウトア、母はタラ。二人とも生粋の サモア人だ。子供たちも上から六人はそのサモアで生まれ、ボクのすぐ上のジ ュニアから下の三人はハワイで生まれている。両親は、子どもたちになんとし ても立派な教育を受けさせようと、故郷のサモアからはるばるハワイに移住し てきたんだ。」

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