8日、「一の酉」の日は、「夏潮」渋谷句会だった。 兼題は、「立冬」と「帰 り花」。 その前日の「立冬」は、早朝霧が出て、暖かい日になった。 ほとん ど準備らしいことをせずに、私の出したのはつぎの七句、案の定の結果になっ た。
洗面の水の冷たき冬に入る
ごそごそとストーブを出し冬に入る
東京は霧の中から冬に入る
立冬は小春日和となりにけり
梅園の盆地の底に帰り花
今日もまた変らぬ暮し帰り花
日の当る終の栖に帰り花
私の選句は、次の七句。
遠目にも白きは梨の帰り花 ひろし
パン捏ねる生地のぬくさも今朝の冬 松子
竃(へっつい)の黒光りして冬に入る 和子
ミルクティーミルクたつぷり冬に入る 淳子
立冬の雑踏にゐて人恋し さえ
連結の音の響いて冬立ちぬ 善兵衛
枝先に夢みるやうや帰り花 良
私の成績は、〈洗面の水の冷たき冬に入る〉と〈今日もまた変らぬ暮し帰り 花〉を松子さん、〈日の当る終の栖に帰り花〉を主宰と善兵衛さんが採って下さ って、主宰選1句、互選3票の計4票だった。 「鳴かず飛ばず」の鳥に、チ ョボチョボ毛が生えたと、いったところか。 〈終の栖〉に主宰の選評は、あ る感慨、庭先でここにずっと住むのだという、しみじみとしたよい老境、とい うお歳でもないけれど…、と。 先日来、腰痛で楽しみにしていた福澤諭吉協 会の旅行や、第532回落語研究会に行けなかった私は、そんな気分にもなって いたのだった。
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