あるグローバル経営幹部研修の話
2017-02-11


 「体育」に関連して、その仲間内の情報交流会で聴いた素晴らしい講演を紹 介したい。 「これまで日本のすがた」を創ったのは、知育・体育・徳育であ り、勤勉・努力・誇り・技術立国だという話があったからだ。 演題は『新興 国から見える日本のすがた』、講演者は高橋秀明さん、慶應義塾大学大学院 政 策・メディア研究科 特任教授。 昭和47年慶應義塾大学工学部修士課程修了 後、ニューヨーク州立大学コンピューターサイエンス修士課程修了、コロンビ ア大学エグゼクティブ・ビジネス・アドミニストレーション・プログラム修了、 米国に15年滞在。 日本NCR会長、米国NCRコーポレーション上席副社長、 米国AT&Tコーポレート・オフィサー、富士ゼロックス代表取締役副社長、富 士ゼロックスパロアルト研究所会長を歴任し、2006年より現職という方だ。

 そして日米欧亜の企業で社外取締役や経営アドバイザーを兼務。 加えて国 立科学博物館経営委員やITベンチャー、ソーシャル・ベンチャーの経営指導、 アジア・国内でのグローバル・エグゼクティブ教育に従事なさっている。

 2011(平成23)年から今までに、香港に本拠を置くシンクタンク、GIFTが 開催するグローバルリーダーシップ研修のシニアメンターとして、約20の社 会問題解決プロジェクトに参加した。 プロジェクトは、すべてアジア諸国で 開催され、世界中の企業から選抜された20名超の参加者が、現地のスポンサ ーによって提起された社会問題をフィールドワークで調査し、解決策を事業計 画として提案する形で行われた。 新興国の問題は、世界有数の少子化・高齢 化が進む日本が直面するより基本的なものとはいえ、それらの国がどのように 解決していくのかを理解すると、日本が新たな社会問題にどのように挑戦すべ きか、有益な示唆が得られるように思う、というのだ。

 GIFT“Global Institute For Tomorrow”の創設者でCEOはChandran Nair (チャンドラン・ネール)氏、そのグローバルリーダーシップ研修である。 参 加者は8〜12か国ぐらいからの25〜30名、25歳〜40歳、世界500位ぐらい までの企業が部課長から理事を派遣し、日本人も5〜7名(オリックス、NEC、 第一生命、セブンバンク、リクルートなど)、セミナー参加費は1万5千ドル (約170万円)。 12日間、最初の5日は香港で座学、次の7日間がハードで、 現地でのフィールド活動が中心。 例えば、インドネシアのジャワの密林にある 13世紀からのカセプスタン王国(自治権を持つ)で、小さな水力発電のプロジ ェクトを検討する。 カセプスタンは森に住む人の意、基本的には自給自足で、 現金を稼ぐ手段がない。

 他に活動した国や対象プロジェクト(農業・金融・エネルギー・医療・水・衛生・ 住宅)は、つぎの通り。

インド:低コスト灌漑、物々交換経済圏、救急・救命搬送、低所得者用住宅

ミャンマー:牛乳生産事業

イラン:リンゴ農業振興

スリランカ:マイクロインシュランス(少額保険)

ベトナム:低価格医療器

ラオス:無電化村電化

カンボジア:もみ殻発電、上水道施設運営

フィリッピン:小作農米作生産性向上

インドネシア:小水力発電(カセプスタン)

モンゴル:小企業育成ファンド

中国:農協・講による生産性改善、省エネルギー、植物性プラスティック、アルファ ルファ農業振興


続きを読む

[慶應]
[文化]
[経済]
[歴史]
[世界]
[日本]

コメント(全1件)
コメントをする


記事を書く
powered by ASAHIネット