ベースボールのルーツを求めて
2022-06-30


 佐山和夫さんの講演「野球どこから、どうして」、さらに野球の源流へとさかのぼる。 フランスに「ラ・シュール」という、隣り村とのゲーム、すべてのボールゲームの母親があった。 イースターの日に、豚の膀胱でつくったボールを奪い合う。 何をしてもいい、棒で打ってもいいので、死傷者が出るほど危険なものだった。 これがイギリスに渡り、「ストリート・フットボール」となっていく。

 その支流に、いろいろなものがある。 イギリスで「ラウンダーズ」という女性のゲームがあり、短いバットで打つ。 14世紀には、女性ばかりの「ストゥール・ボール」、「ストゥール」は背もたれのない椅子の意、ボールをラケットで打ち、空振りをして椅子の座面を立てた板に当たるとアウトだった。 1620年、清教徒が上陸したアメリカ・プリマスの、プリマス・ファウンデーションでは当時の服装をしてやる、「ストゥール・ボール」が残っている。 イギリスのクリケットは、男でもやれる「ストゥール・ボール」のゲームとして行われたので、「ストゥール・ボール」はクリケットの姉にあたり、野球の母の母の弟ということになる。

 オックスフォード『スポーツゲーム事典』に、「ラウンダーズ」のルーツとして「トラップ・ボール」が載っている。 千年以上プレーされ、「トラップ」は仕掛けの意、ボールを乗せたテコのような仕掛けを叩くと、ボールが飛び上がるので、それを打つ。 パブの裏庭で遊んだ。 叩くのは、肩の力への信仰、石の文化だ。 野球、ベースボールの腰の力とは違う。 仕掛けが、木から鉄になり、切れ込みのある棒で、磁器の玉を打つ「ビレット(?)」というゲームがイギリスの北の方に残っている。

 「ラウンダーズ」、「ストゥール・ボール」、「トラップ・ボール」などが、全部アメリカへ行って、ベースボールになった。 佐山和夫さんが、この研究に各地を訪ね歩いたのは20年ほど前だというが、沢山の写真や絵、柔らかいボールや大きなボール、いろいろな道具も収集したり、自分で作ったりしたのを、次から次へと出して見せ、ボールなどは回覧もしてくれて、その探究の情熱がよく伝わった。

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