佐助の「金明竹」、甚語楼の「夏どろ」
2006-07-02


 反省はしたけれど、書かないわけではない。 反省しつつ、謙虚な気持にな って、私なりの感想を書くのである。 「金明竹」の五街道佐助、前に「堀の 内」や「強情灸」を聴いたことがある。 なかなかよくなった。 この日の前 座なのに、前座らしからぬ、長演25分。 親戚の与太郎な小僧がカラ傘を貸 すところから、道具屋の女房まで登場させて、たっぷりやった。 さわりの上 方弁の早口の繰り返しの弁舌が、はっきりとしていて、よかった。 それが重 文級の道具類であることがよくわかり、落語の日本文化史に関する教養の奥深 さを伝えたのである。

 この春、真打に昇進して柳家さん光改め柳家甚語楼、若手の有望株という。  「夏どろ」、小三治がやったのを思い出すと、もっと広い空間が浮かんで来た。  そして、そこに寝ている男は、もっとぶっきらぼうで、ものすごくおっかない 奴だった。 間抜けな泥棒が次第次第に、そのペースに乗せられて行くのは、 第一にその恐怖感があるからだった。 太目の甚語楼には、そのあたりの恐ろ しさが表われず、泥棒の間抜けさとのコントラストがぼやけて、噺に説得力を 欠く結果になってしまったような気がした。

[落語]

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