仲入後、入船亭扇辰が前座噺の「千早振る」を演るというのが、本日のお目 当ての一つだった。 「いよいよ白熱してまいりまして」と出て来て、落語は 勉強になるという私の意見に反して、「何の役にも立たない、生きる勇気が湧い てきたというようなことはない、せいぜい、人妻と浮気をしてウソをつかない ほうがいい、という程度(「宿屋の仇討」)」だと、知ったかぶりの話になる。 雑 学王というのは、ほとんど男性。 「ねぇ、知ってる?」 知っているという ことが大事で、知識のないのは恥。 女性は「ねぇ、聞いたー?」 聞いたか、 聞かないかが問題。 知識にプライドを感じない。 女は「知らないわよ、そ んなの」で済む。 女性を敵に回しているわけではないけれど。
扇辰の「千早振る」は、娘に業平の歌のわけを聞かれた男が、けっこう分か っていて((娘が)どっかに帰ってくれるといいんだが、ウチの子だからケーラ ない、嫁に行くまでずーっといる、という程度だが…)、ご隠居のほうが「いい 男が詠んだ有名な歌」を「何のまえぶれもなく、いきなり」聞くな、とおどお どしている。 歌を切れ切れに読んだり、大声や、小声で言ってみせたりする。 「竜田川」は相撲取で五年で立派な大関になり、千早大夫に振られた後は、国 許の親の豆腐屋へ帰り、五年で立派な豆腐屋になる、御念のいったことだ、と いうご存知の珍解釈が展開される。 落語の解釈のほうが有名なので、歌の意 味を田中優子さんの解説から、引いておく。 「不思議なことの多い大昔でも 聞いたことがない。竜田川は真紅のあざやかな色に水を染めているとは」。 落 語はやっぱり、勉強になる。
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