喜多八の「居残り左平次」
2007-12-03


 トリは柳家喜多八、出囃子が始まっても、なかなか出てこない。 いつもの ようにいやいや出てきて、「お互いに夏の疲れが抜けませんよ」、噺家というの はノーテンキな商売に見えるでしょうが、「飲む・打つ・買う」が必修科目、な かなか(金が)かかる。 「飲む」、早くシラフで徘徊できるようになりたい。  「打つ」、古新聞があれば出来る、新聞紙は縦に目があるので、ソーメンみたい に割く、それを引いて、どっかに必ず数字があるので、大きい奴が勝。 「買 う」、何で男が払うんでしょうかねえ、最初に払った奴がいけない。 最近の楽 屋は女の前座が増えた、お茶を入れてくれたりするだけでジジイは涙ぐんでい る、着物を畳んで畳紙に包むのに茣蓙を敷いてする、その茣蓙をかかえて楽屋 を歩いている、そういう風情が、被った手拭の端でもくわえさせたいよう。

 「居残り左平次」、大ネタである。 居残りは、調子がよくて、パーッと明る くないといけない。 喜多八のガラだと、どうもそのへんのパーッとした明る さが出ないような気がした。 志ん朝の印象がまだ濃いのだ。 最後に一転し て、ワルの正体を現し、すごむところは、ガラに合いそうだけれど、もうひと つ凄みがないように思われた。

[落語]

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